2019年3月20日水曜日

第43回 卒業式 校長式辞


平成30年度  国分寺市立第四中学校 卒業式式辞

 

 本日は、国分寺市長、井澤 邦夫 様 をはじめ、多数のご来賓、保護者の皆様に御臨席いただき、第43回卒業式を挙行できますこと、大変うれしく思います。お陰様で、本校の卒業生は、この卒業式をもって5791名となりました。きょうの佳き日が迎えられますのも、皆様方のご支援のお陰と存じます。高いところからではございますが、厚く御礼を申し上げます。
 

  保護者の皆さま、お子さまのご卒業、誠におめでとうございます。これまで惜しみない愛情を注いでこられ、お子さまは義務教育すべての課程を修了し、立派な成長を遂げました。その晴れの姿をご覧になり、お喜びも一入のことと拝察いたします。心よりお祝い申し上げます。           
               
  卒業生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。只今、皆さん一人一人に卒業証書をお渡ししました。この証書にはとても大切なことがいくつか書かれています。
そっと開いてみてください。どうぞ・・・。

 まず、皆さんの生年月日とお名前がありますね。そして、その下には「中学校のすべての課程を修了したことを証する」と書かれています。今から、この3つについてお話をします。では、そっと卒業証書を閉じて、私の方を見てください。
 
 はじめに、皆さんの生年月日です。15年前にみなさんは、この地球に誕生しました。ご両親は皆さんの誕生を大変心待ちにし、喜んでくれたことでしょう。人間の子供は誕生から3か月は一人では何もできない状態で生まれてきます。その間、ご両親はつきっきりで育ててくれました。みなさんは、当然記憶にはありませんが、この3か月の間に受けた無償の愛情があるからこそ、その後、1歳、2歳と健やかに成長し、今の自分がいるということを忘れてはなりません。
 
 次に、皆さんのお名前です。今お話しした通り、ご両親からの最初の贈り物は命です。そして、2番目の贈り物は皆さんのお名前です。数日前に皆さんのお名前を一人一人確認しました。名前を付けた方の様々な思いが皆さんの名前に込められています。でも、皆さんのお名前に共通していることは、幸せを願ってつけてくれたことです。

一人一人のお名前が違うように、幸せの在り方も一人一人違ってもいいのです。それでも、人生の中にはつらいこともたくさんあるでしょう。絶望に嘆く日もあるかもしれません。  そんなとき、真っ白な紙に、自分の名前を書いてみてください。その名前に込められた願いを改めて確認してみてください。皆さんの名前には、困難に直面した時、どうすればよいかという知恵も込められています。皆さんの名前は、親から子への生きる道標です。

 3点目は、「中学校の全課程を修了したことを証する」ことの意味です。中学校の課程を修了するということは、義務教育を修了するということにもなります。この9年間、みなさんは大変多くのことを学んできました。それは、これから進学、就職した際に必要となるすべての基礎となっています。

 例えば、国語では9年間で2000字近い漢字を習いました。将来皆さんは、様々な道に進んでいくでしょう。医学の道に進めば医学用語、法律の道に進めば法律用語、とても難解な専門用語を学ぶことになります。その専門用語のほとんどが、義務教育時代に習った約2000字の漢字の組み合わせでできています。そのお陰で私たちは母国語の日本語で大学などの高等教育を受けられるのです。
 社会では、歴史という時間軸と地理という平面を学びました。その時間軸と平面が交差するところに今の自分がいます。今、自分がいるところがどういうところであるかは公民の時間に習いました。歴史と地理と公民の関連を振り返ることにより、自分たちの社会はどうあるべきかがきっと見えてくるでしょう。

 数学、理科、技術の理系の教科は、日本のものづくりを支えてきました。国土が狭く資源の乏しい日本にとって、ものづくりは大切な産業です。同時に、ものづくりは世界最先端の科学技術で世界にも大きく貢献しています。その科学技術のすべてが、中学時代に習った数学、理科、技術の基礎の上にあります。 
 音楽、美術、保健体育は、皆さんの人生を健康で豊かなものにしてくれます。勉強や仕事でどんなに忙しい時でも、健康第一で、芸術とスポーツを楽しめる人になってください。義務教育で音楽や美術がない国もあります。日本の音楽やアニメは世界中の人から愛されて、クオリティーが高いことも義務教育で音楽と美術があるからです。
  外国語では英語を習いました。英語は世界へのゲートウェイです。これからも、もっと勉強して、海外で活躍できる人になってほしいと思います。今は、英語が世界共通語となっていますが、今後、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々もやがて先進国になってくるでしょう。そうすると、中国語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語の重要性も高まります。英語以外の言語を習う時も、義務教育で英語を習った経験が生かされていきます。
  家庭科の教科書には、豚肉のしょうが焼き定食の作り方が載っています。この前私は、教科書に載っている作り方で料理しました。大変おいしくできました。また、家庭科の教科書には家事や育児についても詳しく乗っています。


 性別に関係なく家事と育児をこなせるようになることで、すべての国民の能力が社会で活かせるようになります。そうでなければ、国家は衰退してしまいます。今、日本は人口が少なくなるなどの、衰退が始まりかけています。義務教育で習った家庭科は日本を救う大切なものとなるでしょう。
 
 どうでしょうか。義務教育で習ったことは、皆さん自身の未来、そして、日本、世界の未来をも明るくしてくれる礎となることでしょう。

 最後に、命を大切に。生きていれば楽しいこと、つらいこともあります。本当につらい時は、逃げ出してもかまいません。でも、生きていなさい。最後まで生きていなさい。必ず、生きていてよかったと思える日が来るから。いいね。 
平成31年3月20日
国分寺市立第四中学校長 石川 鋭一郎